大盛況で幕を下ろした日本開催のラグビーワールドカップ。
開催前の予想に反して、日本では空前のラグビーブームを巻き起こしていますが、特に会場となったスタジアムのある町では、ファンゾーンなどもでき地元を上げての大盛り上がりです。
ラグビーワールドカップの会場一覧を見ていると、
・札幌ドーム(北海道・札幌)
・釜石鵜住居復興スタジアム(岩手・釜石)
・熊谷ラグビー場(埼玉・熊谷)
・東京スタジアム(東京・府中)
・横浜国際総合競技場(神奈川・横浜)
・小笠山総合運動公園エコパスタジアム(静岡・袋井)
・豊田スタジアム(愛知・豊田)
・東大阪市花園ラグビー場(大阪・東大阪)
・神戸市御崎公園球技場(兵庫・神戸)
・東平尾公園博多の森球技場(福岡・福岡)
・熊本県民総合運動公園陸上競技場(熊本・熊本)
・大分スポーツ公園総合競技場(大分・大分)
の日本全国10会場となっていますが、聞き馴染みのないスタジアムも多いと思いませんか?
アジア初のラグビーワールドカップですし「今回のために新設したスタジアムがたくさんあるの?そんなに税金使って(怒)」なんて思う人もいるかもしれませんが、今回のラグビーワールドカップでは、新設したスタジアムは震災の復興記念として作られた釜石の釜石鵜住居復興スタジアムのみなのです。
なぜ、東京スタジアム・横浜国際総合競技場などいつもと名称が違っているのでしょうか。
ラグビーワールドカップ各会場もJリーグ時とは違う名称のところが多い
札幌ドームや豊田スタジアムなどプロ野球やJリーグで聞きなじみのあるスタジアムもありますが、「神戸市御崎公園球技場ってどこだっけ?」と地元の方ならともなくそうではないと、ラグビーワールドカップのために新設したスタジアムと思うかもしれません。
東京スタジアムというのも、東京のスタジアムですから「あの建設中の国立競技場が間に合ったの?」なんて思う人もいるかもしれませんね。
東京スタジアムというのは、普段JリーグのFC東京の試合や、コンサートなどもよく行われている東京・調布(最寄駅:飛田給駅)にあるスタジアムで、「味の素スタジアム」という名称がついています。
しかしサッカーのFIFAワールドカップやオリンピックなどもそうですが、大会自体にスポンサーが付いており、そのスポンサーとの契約の都合上ネーミングライツでスタジアム名を獲得していても企業名が使用できないのです。
ちなみにワールドカップラグビーのワールドワイドパートナーは、エミレーツ航空(航空会社)、ハインケン(オランダのビールメーカー)、LAND ROVER(イギリスの自動車ブランド)、Mastercard(クレジットカード)、SOCIETE GENERALE (フランスの大手銀行)、DHL(輸送・物流)の6社になっています。
東京スタジアムの味の素は直接的な競合企業はありませんが、例えば決勝戦が行われ日本戦もあった横浜国際総合競技場は普段は日産スタジアム。
日産が命名権(ネーミングライツ)を獲得しているからですが、LAND ROVERが直接的な競合企業ですから絶対ご法度と言えます。
そうなると「豊田スタジアムは平気なの?」と思うところですよね。英語表記にすれば「TOYOTA Stadium」。
日本人はともかく外国人からすれば、TOYOTA(自動車メーカー)のスタジアムという印象を持ってしまうでしょうが、豊田スタジアムは単に豊田市にあるスタジアムで地域名のためセーフなのです。
余談ですが、イングランドのHCであるエディー・ジョーンズ氏は、対戦したニュージーランドHC、スティーブ・ハンセン氏について「ニュージーランドの監督じゃなくなってさみしいが(トップリーグの)トヨタ(自動車)でやると聞いている。TOYOTAの車は速くなると思う。」と暴露して、(LAND ROVERのスポンサーの関係上)ちょっとした騒ぎになりました。
なんでも1社につき、数十億円とも言われる巨額のお金が動くだけに、企業名問題は結構シビアなのです。
ネーミングライツ以外にも、会場で売られているビールはもちろんハイネケン、ちなみにサッカー日本代表ではキリンとビール業界はスポーツ界で競争がシビアですね。
ラグビーワールドカップ会場でいつもと名称が違うところ
前述した東京スタジアム(←味の素スタジアム)、横浜国際総合競技場(←日産スタジアム)以外にも、神戸市御崎公園球技場は「ノエビアスタジアム神戸」、東平尾公園博多の森球技場は「レベルファイブスタジアム」、熊本県民総合運動公園陸上競技場「えがお健康スタジアム」、大分スポーツ公園総合競技場は「昭和電工ドーム大分」です。
正直、「レベルファイブ?」「笑顔元気?」なんて言われてもどこのスタジアムなのかまったく分からない人も多いでしょうが、レベルファイブは「レイトン教授シリーズ」や「妖怪ウォッチシリーズ」などのゲームソフト開発・販売会社の株式会社レベルファイブが、「えがお元気」は健康食品の通信販売を行う株式会社えがおが命名権(ネーミングライツ)を獲得したためです。
一般人からすると、元々の地域名の方が分かりやすいという声は多いですが、年間数億円もかかるとされるスタジアムの運営費を賄うためには致し方ないことなのです。
ただ、埼玉スタジアムや豊田スタジアムのように赤字でも頑なにネーミングライツを行使しないスタジアムもあります。
横浜では中華街周辺でウロウロしてしまう外国人が!
慣れてしまえば、ネーミングライツ後のスタジアムも馴染みが出てくるものですが、日本語の分からない、今回のラグビーワールドカップのために来日した外国人では話が別。
正直、「えがお元気スタジアム」と言われても、まったく意味が分からず困惑した人も多いようです。
特に騒ぎになったのはYOKOHAMA。
横浜国際総合競技場は、英語表記では「Yokohama International Stadium」。
そう横浜には、横浜DeNAベイスターズの本拠地である横浜スタジアム(Yokohama Stadium)がありますよね。
外国人からすれば、【Yokohama International Stadium】と【Yokohama Stadium】の違いを見分けるのはとても困難。
横浜スタジアムは中華街のある最寄り駅はJR関内駅、横浜国際総合競技場はJR新横浜(JR小机)駅と、同じ横浜市内でも車で20~30分はかかる距離があるのです。
そのため、横浜国際総合競技場で試合がある日は、決まって中華街周辺で困惑しているラグビーファンの外国人がいるとか。もし、決勝戦の日に見かけたらぜひ、声を掛けて教えてあげて欲しいです。
ネーミングライツにかかる値段は?
では、ネーミングライツにかかる値段はいくらなのでしょうか?
海外ではけた違いなところもありますが、日本におけるネーミングライツの最高金額は、ヤフージャパンが福岡ドームに名付けた「ヤフオク!ドーム」で1年間で約5億円と言われています。
ラグビー、サッカーのスタジアムでは、だいたい年間で1億円弱くらいが相場といえるでしょう。
広告効果としては、Jリーグの本拠地になるなど稼働率が高いところでは、決して高い広告料ではないのではないでしょうか。
まとめ
今回は「東京スタジアムに横浜国際総合競技場…いつもと名称が違っている理由」についてお送りしました。
今回のラグビーワールドカップは日本のおもてなしも大きな話題となっていましたが、来年の東京オリンピックをはじめ、次なる国際大会のためにも、今回の横浜スタジアム名称問題のようなことはクリアーにして外国人にも分かりやすい名称にして欲しいと思います。