ユベントスはセリエAにおいて過去8シーズンに渡って常にトップの座を占めてきました。
その一方で、CL(チャンピオンズリーグ)においては20年以上に渡って優勝から遠ざかっています。
今シーズン、ユベントスは前任のアッレグリに代わる新たな監督としてマウリツィオ・サッリ(前チェルシー監督)を招聘しました。
果たして、ユベントスは今シーズンこそ念願のCL制覇を果たすことができるのでしょうか?
好調なスタートを切ったユベントス
ユベントスは今シーズン、リーグ戦においてもCLにおいても非常に好調なスタートを切っています。
リーグ戦では、現時点(9節終了時点)で2位と勝ち点差1の1位に着けています。
先日のインテル戦では、かつての監督であるコンテ率いるチームを相手に見事な勝利を収め首位決戦を制しました。
現在、失点数はリーグ最少で、得点数もアタランタ、インテル、ナポリ、ラツィオに次いで多い数字となっています。
さらに、今シーズンのユベントスはCLにおいても良い滑り出しを見せています。
グループリーグのD組で『アトレティコ・マドリード』『ロコモティフ・モスクワ』『レヴァークーゼン』と同組となっているユベントスは、現時点(3試合終了時点)で『アトレティコ・マドリード』と並んで首位に立っています。
得失点差もグループ内で最多で、正に絶好のスタートダッシュを切ったと言えるでしょう。
そして、この2つの事実に加えてもう1つ注目すべきなのが、今シーズンのユベントスがここまでリーグとCLで1度も負けていないという事実です。
もちろん、CLではまだ実力の拮抗したクラブと対戦していないという事実はありますが、それを差し引いたとしてもこの結果は、十分に今シーズンのユベントスの強さを示すのに十分なものだと言えます。
リーグ連覇を続けた過去8シーズンを振り返ってみても、今シーズンが最も良いスタートだと言っても決して言い過ぎではありません。
他の優勝候補との比較
CLでは各年の大会毎に、優勝候補となるクラブの名前がいくつか挙げられます。
今シーズンで言えば、前回王者のリバプール、そして毎年のように優勝候補に名前が挙げられるマンチェスター・シティ、バイエルン・ミュンヘン、バルセロナ、ユベントスといったクラブが有力な候補になります。
ちなみに、5年で4度の優勝を成し遂げたレアル・マドリードはロナウドの移籍以降『オフェンス面』で以前よりも明らかに見劣りしていることなどから、ここでは優勝候補に含めませんでした。
従って、今シーズンのCLでユベントスと優勝を争う有力な候補となるのは『リバプール』『マンチェスター・シティ』『バイエルン・ミュンヘン』『バルセロナ』の4クラブだと予想されます。
さてそこで気になるのが、これらのチームとユベントスとを比較した上での互いの優劣、あるいは相違点といった部分です。
まず、戦力の充実度について言うと、これはユベントスもその他の4クラブも双璧だと言えます。
どのチームにもエースストライカーと言える選手がいますし、中盤にも最終ラインにもヨーロッパでも屈指の選手たちが揃っています。
ただ、選手層の厚さということで言うと、ユベントスが一歩上を行っているように見えます。
選手層が厚いということは、それだけ主力を休ませる余裕があるということですから、この点はユベントスに有利に働くポイントになるはずです。
次に戦術の完成度についてですが、この点ではユベントスは他の4クラブにいくらか見劣りします。
リバプールとマンチェスター・シティは同じ監督の下で長年戦術を磨き続けていますし、バルセロナは監督こそ頻繁に代わっているものの、チームの戦術は細かな部分を除いてほぼ一貫して継承されています。
唯一例外となるのはバイエルン・ミュンヘンですが、こちらもニコ・コヴァチ監督の下で既に2シーズン目を迎えています。
最後に過去の実績・経験という部分についてですが、この点ではリバプールが他のチームを大きく引き離しています。
昨シーズンの優勝については言うまでもありませんが、その前の大会でもリバプールは決勝に進出していますし、クロップ監督自身はドルトムント時代に2012-2013シーズンの決勝も経験しています。
その点、ユベントスの選手はロナウドとケディアを除いては1度もCL優勝を経験したことがありませんので、この点が1つの懸念材料になります。
監督の経験値にも不安がつきまとう
CLの歴代優勝クラブを見ればわかりますが、ビッグイヤーに輝くクラブの監督というのは、ほとんど例外なくCLで優秀な成績を収めています。
例えば、昨シーズン優勝を果たしたリバプールのクロップ、レアル・マドリードとACミランを優勝に導いたアンチェロッティ、ポルトとインテルで優勝したモウリーニョ。
またこの他にも、ヒッツフェルト、ファーガソン、ファン・ハール、ベニテス、グアルディオラといった名前が挙げられます。
CL優勝を果たすためには、監督がリーグだけでなくCLにおいても十分な経験値と優秀な成績を収めていることが1つの条件になると言っても過言ではありません。
ところが、ユベントスのサッリ監督はこの点においていささか不安が残ります。
これまでリーグでは、限られた戦力の中で優勝候補と目されるチームを脅かすという非常に優れた手腕を発揮してきましたが、CLには特に注目すべき結果は残していません。
今シーズン、ユベントスがCL制覇を狙う上においてネックになる部分があるとすれば、おそらくはこの点ではないかと思われます。
22年ぶりの栄光を目指す
2014-2015シーズン、2016-2017シーズンとユベントスがCLの決勝に進出したことは記憶に新しいところです。
しかし、優勝ということに限って言うと、実に21年間遠ざかっていることになります。
従って、今シーズンのCLで優勝を果たせば、実に22年ぶり(決勝が2020年のため)に欧州NO.1の栄光に輝くということになります。
もしこれを実現できれば、欧州の舞台におけるカルチョスキャンダルからの完全な復活を印象付けることができるでしょう。
また、それを機にユベントスの新たな黄金時代が幕を開けるかもしれません。
ちなみに、今大会でユベントスが優勝すれば、イタリア勢としてもインテル以来10年ぶりの優勝ということになります。
まとめ
ユベントスは今シーズン、リーグ・CLの双方で好調なスタートを切りました。
リーグ9連覇、そしてCL優勝に向けて正に視界良好といった状況です。
CL優勝に向けては『リバプール』『マンチェスター・シティ』『バイエルン・ミュンヘン』『バルセロナ』といったクラブがライバルになると予想されます。
もし今回の大会で優勝を果たすことができれば、ユベントスにとっては22年ぶりのビッグイヤーということになります。