モータースポーツで行われるレースは走る距離と時間で大きく二つに分けることができます。
F1レースなど短距離、短時間で終了するレースの事をスプリントレースと呼びます。
所要時間が2時間程度がこの分類に分けられます。
対して長時間、長距離を走るレースの事を耐久レースと呼びます。
日本だと鈴鹿8時間耐久ロードレースなどはモータースポーツに興味の無い人でも聞いたことはあるのではないでしょうか?
ちなみにこのレースは2輪車の耐久レースになっています。
4輪車でも耐久レースは行われており世界中で様々な時間や距離の耐久レースが開催されます。
今回は「世界三大レース」であり「世界三大耐久レース」の一つでもあるル・マン24時間耐久レースを紹介します。
ル・マン24時間耐久レースとは
フランスのル・マンにあるサルト・サーキット、全長13.629kmのこのコースでル・マン24時間耐久レースが行われる。 pic.twitter.com/6V5du4H0
— Kimi (@_IlMSf_) June 15, 2012
ル・マン24時間耐久レースの数字からお分かりかとも思いますが、文字通り24時間ぶっ続けで走り続けるレースです。
初開催は1923年(大正12年)で今年で87回目の開催となりました。
場所はフランスのル・マン市で行われます。
開始当初は「ラッジウィットワース杯24時間耐久グランプリ」で1937年からは現在の「ル・マン24時間耐久レース」に改称されました。
フランスの自動車業界のストライキと第2次大戦中前後を除いては毎年開催されています。
サーキットはル・マン市郊外にある「サルト・サーキット」(正式名称ルマン24時間サーキット)で1周13.629kmでコースの3分の2は一般道で占められる市街地サーキットと呼ばれるものになります。
1周の長さですがサーキットの中では特に長い方に分類されます。
サーキットの中でも距離があると言われている日本の鈴鹿サーキットは6km弱(約5.8km)なので如何に1周が長いコースかが分かるかと思います。
かつては一般道部分のロングストレート(ユノディエール)が全長6kmもあり、アクセル全開(アクセルを目一杯踏みっぱなし)の状態が1分も続く為、1988年には時速405kmという最高時速を記録しました。
さすがに安全面を考慮した運営側からクレームが付き、現在は約2km事にシケインが追加されました。
現在は耐久レースのコースとして世界的に有名ですが、当初はF1のフランスグランプリを行うために出来たコースだったそうです。
ちなみに現在のコースレイアウトでの最速ラップは2017年トヨタで参戦した元F1ドライバーの小林可夢偉が予選で記録した3分14秒791が最速記録とされています。
2019年1位のチームが走った24時間の総走行距離は約5246kmにもなります。
どれくらいの距離かと言うと、直線距離で北海道最北の稚内市からタイのバンコク(約5218km)以上の距離を走っていることになります。
ル・マン24時間耐久レースのルール
今日はル・マン24時間耐久レース
今日はル・マン24時間耐久レース
今日はル・マン24時間耐久レース
今日はル・マン24時間耐久レース
今日はル・マン24時間耐久レース
今日はル・マン24時間耐久レース
今日はル・マン24時間耐久レース
今日はル・マン24時間耐久レース pic.twitter.com/T6PRqaXbeu— hamaD (@rossoyuuya1) June 16, 2017
次にレースのルールについて簡単に説明したいと思います。
出場資格は主催者(フランス西部自動車クラブ)からの招待状を送付されたチームのみ参加可能。
出場枠が55台ですがレース参加するだけでも名誉で世界中からのエントリーが殺到する為に招待制になったとの事。
1年を通した耐久レースの選手権が開催されており、その成績などが選考基準となるようです。
レース開催日は毎年6月に1年で最も長い夏至の頃に開催されます。土曜日午後3時にスタートし、翌日曜日の午後3時にゴールとなります。夏至の頃のフランスは日本と違い22時頃までは明るいそうです。
ですが翌朝午前6時頃の日の出までの約8時間は暗闇の中をマシンのライトのみで夜間走行を行います。
1台のマシンを2~3人で交代しながら24時間を走り切り1位でゴールしたチームが優勝となります。
長丁場ですが1位で24時間後のゴールを目指しますので走るペースはF1のレース等と一緒でライバルと競いながら常に最速で走ります。
その為、ピット作業も迅速な作業が毎回求められます。
また6つのクラス分けされたマシンが同時に決勝を行うレースになっています。
F1の様な市販車ではないオリジナルのマシンや一般車をベースにしたマシンなど様々な種類とスピードの違うマシンが同時にレースを行うことになります。
その為、遅い車の追抜き等も頻繁に発生するのもこのレースの特徴です。
町全体がお祭りになる1週間
ル・マンウィークスタート!
早速たくさんのご質問ありがとうございます😊
ル・マン24時間レースが行われるフランス ル・マン市にきました!
“ル・マンウィーク”は今日の車検から始まるんです。
車検が行われるのはサーキットではなくなんとル・マンの街中!
お祭りみたいな雰囲気です🎉#WECjp pic.twitter.com/f7wxzNo3NG— TOYOTA GAZOO Racing (@TOYOTA_GR) June 10, 2018
ル・マン24時間耐久レースが行われるル・マンは決勝の1週間前から町全体がお祭りのような状態になります。
日曜日と月曜日に旧市街地のリパブリック広場で一般公開の公式車検が行われます。
観客も間近でマシンを見る事が出来ます。
水曜日にフリー走行と公式予選1回目、木曜日に公式予選2回目と3回目行われます。夜間走行もある為深夜時間帯に行われます。
金曜日には市内でドライバーズ・パレードが行われます。
また周辺には移動遊園地やバーベキューなどもあります。
遊園地の中には観覧車もあり、その中からレースを観戦する事もできます。
キャンプ場もあり、テントを貼って1週間ゆったり観戦する方もいたりとアウトドアイベントの様な雰囲気もあります。
日本チームの数々の挑戦
マツダ787B
1991年のル・マン24時間レース総合優勝を果たした。
日本メーカー初の総合優勝
ロータリーエンジン車としてレシプロエンジン以外で初の総合優勝。
まさに快挙を果たした車。 pic.twitter.com/wCgIJSGdBT— ありえない車画像bot (@BBBcarbot) November 21, 2019
日本は1970年頃から参戦を始めています。
トヨタ、日産、ホンダ、マツダ等F1とはまた違う日本メーカーの参加がありました。
ワークスチーム以外にも沢山のプライベーターや芸能人レーサーなどの挑戦もありました。
女性ドライバーも過去には参戦しており完走もしています。
日本人がドライバーとして参戦した海外のチームが優勝する事は度々ありましたが、日本チームでの総合優勝はなかなか実現しませんでした。
そして迎えた1991年の第59回で遂にマツダの787Bが日本チームの総合初優勝を達成します。
トヨタは2016年のル・マン24時間で終了6分前までTOPを走っていたマシンが突如スローダウンの後に停止。
ポルシェチームに抜かれ優勝を逃しました。
またマシンは再始動をして動き出したものの、最終周回に約12分掛かってしまい、「最終周は6分以内に走らなければならない」という規定を満たすことができず、384周も走りながら完走の認定すらもらえない失格となってしまいました。
翌2017年も序盤のトラブルで順位を大きく落とし優勝できませんでした。
その翌年2018年ついに総合初優勝を果たします。
しかもこの年は予選1位からスタートし、一度もTOPを譲らないポール・トゥー・ウィンを達成しました。
さらに2位もトヨタ車でこちらもスタート時から2位を守り続けてのゴールとなりました。
日本人が運転する日本車での優勝は史上初の快挙でマツダの優勝から実に27年ぶりとなりました。
翌年2019年も途中トラブルでTOPから陥落しましたが、最終的には前年同様の1位2位を独占するワンツーフィニッシュを2年連続で達成しました。
まとめ
TV中継はさすがに24時間する事はできないのでダイジェスト的な放送ばかりでしたが、
最近はネットで24時間生放送も出てきています。
ただ見る方も24時間は相当大変ではありますが。
ここ2年は日本車が連続で総合優勝していますが、それまでは苦難の連続でした。
次は3人のドライバー全て日本人の体制でALL日本での完全優勝を狙ってほしいですね。
トヨタ以外の日本メーカーも以前は参戦していましたが、いろいろ事情があり現在はトヨタだけです。
また他の日本メーカーも入り乱れる耐久レースになってくれれば最高ですね。