令和の時代がスタートしたころ、こんなにも日本国内でラグビーフィーバーが巻き起こるなんて誰が想像したでしょうか。
4年前いわゆるブライトンの奇跡で、日本代表が南アフリカ代表を奇跡的に破り、世界に衝撃を与えたあと、五郎丸フィーバーもあり日本ラグビーは一気に人気スポーツに駆け上がるのではないかと思われていました。
アジアで初の2019年ラグビーワールドカップに向けて良い環境づくりができるのではと思っていたのも矢先、ラグビー協会の不手際もあり一気にフィーバーは終息。
ラグビーの自国リーグトップリーグは平均観客5000人ほどと、ブライトンの奇跡前とそれほど変わらないまでに落ち着いてしまったのです。
そのため、2019年ラグビーワールドカップは成功が難しいとまで言われていましたが、なぜ、ここまで空前のラグビーフィーバーを巻き起こすことができたのでしょうか。
もちろん!日本代表の躍進
日本代表のあのトライをプレイバック!
✏堀江が縦に走ってチャンスメイク
✏ラファエレから福岡への鋭いパス
✏福岡が見事なオフロードパス
✏松島が走り切ってフィニッシュ💥@Canon_mj 自由視点映像#RWC2019 #JPNvSCO pic.twitter.com/laejU9D6z4— ラグビーワールドカップ (@rugbyworldcupjp) November 2, 2019
日本代表がはじめて決勝トーナメント(ベスト8)に進出した南アフリカ戦では、最高視聴率が49.1%(関東地方)を記録。
単純計算で国民の2人に1人はラグビーを観戦していた計算で、今の時代パブリックビューイングやネット視聴などもあることを考えると、この数字より実際の視聴者数は多いでしょう。
あの紅白歌合戦でさえ今では40%ほど。
50%近くの視聴率を稼げるのは、同じスポーツのサッカーワールドカップくらいでしょうから、空前のラグビーフィーバーといって間違いないでしょう。
日本(アジア)はラグビー不毛の地で、日本開催のラグビーワールドカップは赤字間違いなしとまで言われていたのに…ここまでのラグビーフィーバーは、やはりなんといっても日本代表の躍進でしょう。
サッカーや野球でも同様ですが、日本代表が躍進すると日ごろそこまで愛国心を持っていない人であっても心が揺さぶられるものです。
日本代表の約半数が外国人選手ということもあり、当初は「そこまで日本代表と見られない」「日本代表と言われても」なんて声も多かったのですが、外国人(ヘッドコーチも)が声を張り上げて君が代を歌い、日の丸を背負って戦う姿に心を打たれこれまでラグビーに興味を持っていなかった層ものめり込んでいったのです。
もともとラグビーは日本で人気スポーツだった
今では前述したとおり、日本のラグビートップリーグは観客数が平均5000人程度と低迷。
野球やサッカーをはじめ、人気スポーツランキングを見れば(ラグビーワールドカップ開催前だと)ベスト10にも入らなかった不人気スポーツだったでしょう。
しかし、Jリーグが開幕する前の1980年台くらいまではむしろ国立競技場を満員に埋めるのはサッカーの日本代表戦より早明戦などのラグビーの方でした。
もともとラグビーはサッカーより人気スポーツで、その名残?がよく中川家がネタにしている、古くからのラグビーファンのおじさんのような人が多数いるわけです。
企業スポーツの枠を超えることができなく、自国リーグ(トップリーグ)をプロ化できなかった政策の失敗もあり今でこそ低迷はしていますが、ラグビーの日本における歴史は意外に古く、1800年代後半からで現在の日本のラグビーユニオン登録選手数は世界第11位(108,796人)と日本に根付いているのです。
ラグビーの精神と日本人の美徳は合っている
ラグビーが日本に伝わったころ、日本人のはラグビーの中に「武士道」を見出しラグビーの試合の価値を重んじたと言われています。
フォワードの選手は自らは決して脚光を浴びることがなくとも、何度も何度も相手にぶつかり味方のスペースを作り続ける。
バックスの選手も自らがトライを決めたとしても決して自分だけの得点ではなく、チームみんなで勝ち取った得点だと皆で喜び合う。
ラグビー基本精神であり、ドラマ「スクールウォーズ」でも有名になった「One for all,All for one」はまさに日本人の美徳と合致するものなのです。
もともと、競泳や陸上のリレー・駅伝など日本人は「One for all,All for one」(ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために)の精神が大好きなので、試合を観ていくうちに己の美徳精神が心揺さぶられていくのです。
利益度返しのラグビー経験者の宣伝
最後に忘れてはならないのは、ラグビー経験者の頑張りでしょう。
特に大きな貢献をしたのが、TBSドラマ「ノーサイドゲーム」だったのではないでしょうか。
「ノーサイドゲーム」では、突然弱小ラグビーチームのGMになった男を通じて、ラグビーと企業内バトルを交互に描きながら勝負していくビジネススポーツサクセスストーリーですが、このドラマの中で元日本代表の廣瀬俊郎氏をはじめ、実際のラグビー選手を出演させリアルな迫力あるラグビーシーンを放送させたのです。
トライやスクラムすら分からかった層をはじめ、ノックオンやジャッカルなども丁寧にドラマで描かれていたため、だいぶラグビーのルールを覚えたという人も多かったのではないでしょうか。
ルールが少しでも分かっているのと分からないのでは面白みが全く違います。
ご存じのとおり、ラグビーワールドカップの放映権を持っているのは日本テレビとNHK、TBSは関係ないというより、よりワールドカップが盛り上がってしまったらライバルになってしまう存在なのです。
ドラマの視聴率のことだけを考えたら、ワールドカップ終了後に放送した方が数字がきっと良かったでしょう。
ノーサイドゲームを演出したTBSの名物プロデューサー、福澤克雄氏は元慶応大学のラグビー部出身(このために大学の後輩の廣瀬氏も出演された)、ラグビーの盛り上がりのために、あえてワールドカップ開催前に放送したのです。
この決断は、TBSの利益のことだけを考えたら間違っていたのかもしれません。
しかし、ラグビーのことを考えると大ファインプレーだったのだと思います。
また、ラグビーがまったく話題にならなかった時期から「ノックオン」「ノットリリースザボール」などのネタをコントで行っていたラグビー経験者の中川家の功績も大きいと言えるでしょうね。
他にも廣瀬氏による各国の国家を歌おうプロジェクトなど昔からラグビーを愛してきた者たちの陰の支えも、ラグビー大フィーバーを巻き起こしたのです。
陰で支えるのもいかにもラグビー精神に乗っ取っており、美徳があるではないかと思うのです。
まとめ
「日本で空前のラグビーフィーバーが巻き起こったのはどうして?」をテーマにお届けしました。
日本人は熱しやすく冷めやすいのもあり、このフォーバーを一過性のものにしてはなりません。
ヨーロッパの国のようにひとつの文化になるまでラグビーを根付かせていかないとですね。