日本代表は10日に行われたモンゴル戦で6-0の大勝を収めました。
この試合では南野や長友などがゴールを挙げましたが、その陰で着実に結果を残していた選手がいました。
それが、1試合3アシストというMOM級の活躍を見せた伊東純也選手(KRCヘンク
)です。
伊東は森保ジャパンにおいて欠かせない戦力の一人となっており、今後このチームのキープレーヤーになれるかどうかが注目されます。
ようやく訪れたチャンス
10日のモンゴル戦で伊東純也は右のサイドハーフとしてスタメン起用されました。
このポジションには通常MF堂安律が入るのですが、現所属のPSVでまだレギュラーに定着できていないことなどが考慮されて、この試合では伊藤がスタメンに抜擢されることになりました。
ただ「抜擢」とは言っても、ベルギーリーグで常にスタメン出場を続けている伊東にとっては決して驚きの起用では無かったでしょう。
現に、伊東はクラブでの試合と同様に右サイドで積極的かつ効果的なプレーを何度も見せ、結果的に3つのアシストを記録しました。
対戦相手のモンゴルが明らかに格下の相手だったということを差し引いても、出色の出来だったと言えるでしょう。
この試合の伊東は彼個人としても良いプレーを何度も見せましたが、周りとのコンビネーションにおいても良い連携を見せました。
特に目を見張ったのが右サイドバックで出場した酒井宏樹とのコンビネーションです。
伊東が外に開けば酒井が中に切り込む、酒井が大外からオーバーラップすれば伊藤が内側に絞るこうしたプレーが随所で見られました。
そしてその結果、モンゴルの左サイドバックは何度も裏を取られることになり、これが引き金となって3つのアシストが生まれることになりました。
伊東にとっては、ようやく訪れたチャンスで最高のアピールが出来たということになるでしょう。
希少性の高い純粋なサイドアタッカー
現代のサッカーにおいて最も希少性が高いタイプとも言えるのが、純粋なサイドアタッカーです。
純粋なサイドアタッカーとは、ワイドにポジションを取ってそこからドリブルで縦に突破したり、味方のパスを受けてディフェンスラインの裏に飛び出すことを得意にしている選手、あるいはそうしたプレーが多い選手のことを指します。
より具体的に言うと、利き足と同じサイドでこうしたプレーを行う選手がこれに該当することになります。
かつての名選手で言えば、ポルトガル代表として活躍したフィーゴがこのタイプの典型的な例として挙げられます。
あるいはフィーゴ以外の選手でも、彼の同時代には純粋なサイドアタッカーの選手たちが数多く活躍していました。
また、彼よりも少し年下の世代でもこのタイプの選手たちは決して少なくはありませんでした。
しかし、最近ではこうしたタイプの選手はほとんど見られなくなりました。
現在ではほとんど希少種と言っても過言ではない存在にまでなっています。
いつ頃からこうした傾向が出てきたのかは明確ではありませんが、おそらくはロナウジーニョがバルセロナでレギュラーとして活躍していた時期から現在のような状況が本格的に始まったのではないかと考えられます。
と言うとつまり、利き足とは逆サイドでプレーするサイドアタッカーが増えてきたということです。
ロナウジーニョは皆さんご存知のように右利きの選手ですが、バルセロナでは3トップの左ウイングとしてプレーしていました。
そして彼が世界的な選手になっていくと、彼に似たプレーをする選手が次々に現れてきました。
その筆頭は何と言っても、ロナウジーニョのバルセロナ在籍時に同チームでトップデビューを果たしたメッシです。
メッシがトップデビューしレギュラーとして活躍するようになって以降、利き足とは逆サイドでプレーするサイドアタッカーは次々に増えていきました。
そして現在では、従来主流だった純粋なサイドアタッカーよりも、ロナウジーニョやメッシのようなサイドアタッカーの方が多数派になっているのです。
つまり、現代ではロナウジーニョやメッシのような縦に抜けるよりも内に切り込んでいくサイドアタッカーの方が主流になっているわけですが、これは裏を返せば従来主流であった純粋なサイドアタッカーの希少性が高まっているということでもあります。
伊東純也は日本のサイド攻撃を変えられるのか?
純粋なサイドアタッカーの希少性の高まりは今や世界的なトレンドとなっていますが、これは日本代表においても例外ではありません。
現在、日本代表でスタメンを務めることが多いサイドアタッカーは、伊東を除けば中島乾・堂安・久保といった選手たちですが、
彼らはいずれも純粋なサイドアタッカータイプの選手ではありません。
と言うよりも、それとは真逆の現在トレンドとなっている内への切り込みを得意とした利き足とは逆のサイドでプレーする選手たちです。
一方で、伊東純也のプレースタイルは紛れもなく純粋なサイドアタッカーと呼ぶに相応しいタイプです。
現時点においては、代表での序列は伊東よりも堂安の方が上ですが違いを生み出すという意味で言えば伊東のスタメン起用も有効な手の1つだと考えられます。
そしてそのことは、先日のモンゴル戦でも既に証明されています。
クラブ(KRCヘンク)での活躍は続く
伊東は代表での地位こそ決して高くないものの、クラブにおいては右サイドのレギュラーとして不動の地位を築いています。
また、現在所属するKRCヘンクは今シーズンCLにも出場しており、そこでも伊東はレギュラーとして活躍しています。
RCゲンクに加入したのは昨シーズンの途中からでしたが、現時点で既にチームのキープレーヤーの1人になっています。
柏時代からクラブでは常にレギュラーとして活躍している伊東だけに、今後は代表でのスタメン定着にも期待が高まります。
まとめ
10日のモンゴル戦では格下相手とは言え、日本代表は鮮やかなゴールラッシュを見せてくれました。
伊東純也はこの試合でゴールこそ決められなかったものの、3つのアシストで勝利に貢献しました。
森保ジャパンでは堂安にスタメンを譲ることの多い伊東ですが、その実力には疑いの余地はありません。
今後、代表チームのキープレーヤーの1人として活躍することが期待されます。