ブンデスリーガ第10節、日本の鎌田大地と長谷部誠が所属するフランクフルトは昨シーズンの王者バイエルンミュンヘンと対戦しました。
戦前の予想では王者バイエルンが有利という見立てが大半でしたが、終わってみれば5-1という大差でフランクフルトが勝利を収めました。
昨シーズンもブンデスリーガ、さらにはヨーロッパリーグにおいて台風の目となったフランクフルトですが、今シーズンもいきなりその片鱗を見せた形になりました。
シーズン開幕前には多くの主力選手がチームから離れましたが、フランクフルトは今シーズンも昨シーズンの快進撃を再現することができるのでしょうか?
絶対王者相手に歴史的大勝
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— Eintracht Frankfurt (@Eintracht) November 4, 2019
先日のバイエルンVSフランクフルトの一戦は、世界中のサッカーファンにとって非常に衝撃的な結果に終わりました。
おそらく、試合前にここまでの大差が付いて前年のブンデスリーガ王者が敗れることを予想した人はほとんどいなかったはずです。
それどころか、フランクフルトがバイエルンミュンヘン相手に勝利を収めるということ自体、多くの方は想像できなかったはずです。
フランクフルトが2017-2018シーズンのDFBポカール決勝でバイエルンを下して優勝を果たしたのは記憶に新しいところですが、リーグ戦での相性は最悪でした。
今回の試合が行われるまで、フランクフルトはリーグ戦でバイエルン相手に5連敗を喫しており、最後に勝ち点を挙げたのは2016年の10月に行われた0-0の試合が最後だったのです。
つまり、リーグでは3年以上に渡って勝利はおろか勝ち点すら獲得できていなかったのです。
ところが、今回の対戦ではこうした過去の対戦成績とは全く逆の結果が出ることになったのです。
試合は開始早々に動きます。
前半8分、味方のパスに抜け出したゴンサロ・パシエンシアがジェローム・ボアテングにペナルティーエリア付近でファウルを受け、フランクフルトにFKが与えられます。
そしてこのプレーで決定機を阻止したボアテングはVAR判定の結果退場となります。
先制点は25分に生まれます。
右サイドからダニー・ダ・コスタが入れたグラウンダーのクロスが味方と相手に一度ずつ当たり、大外に走り込んだコスティッチがゴールマウスに冷静に流し込みました。
この後もフランクフルトの攻撃は止まりません。
33分にはコスティッチのクロスにジブリル・ソウが合わせてあっさりと追加点を奪い、後半に入ってからもさらに3点を追加して点差を広げました。
バイエルンも後半に入ってようやくレヴァンドフスキのゴールで一矢報いましたが時すでに遅し。
終わってみれば圧勝とも呼べる大差で試合が決することになりました。
バイエルン相手にリーグ戦で3年ぶりの勝ち点獲得ということを考慮に入れれば、正に歴史的大勝であったと言えるでしょう。
フランクフルトは再び欧州の台風の目となれるのか?
\会心の勝利☝/
バイエルンを5発粉砕の 🇩🇪#フランクフルト
3ゴールに関与の #コスティッチ💬「今日のようにプレーできれば、ホームではどこも恐れる必要がない」
— Goal Japan (@GoalJP_Official) November 3, 2019
バイエルン相手の大勝も印象的でしたが、フランクフルト応援する人にとって忘れられない記憶があります。
それが、昨シーズンのドイツ国内とヨーロッパの舞台での躍進です。
昨シーズン、フランクフルトはリーグ戦では最終的に7位に入り、ヨーロッパリーグでは準決勝にまで駒を進めました。
しかも、リーグ戦では最後までトップ4入りを争い、ヨーロッパリーグでも同大会の王者となるチェルシー相手に延長の末PK戦にまで持ち込み、
最後まで諦めることなく戦い続けました。
しかし今シーズンは、夏の移籍市場で昨シーズンブレイクを果たしたヨビッチとレビッチの両エースがチームを離れ、その他にも多くの選手が移籍を決断しました。
そのため、開幕前の段階ではフランクフルトの前評判は決して高くありませんでした。
ところが、いざシーズンが開幕してみると開幕前の不安は何のその、10節終了時点で昨シーズンの順位と同じ7位に着けています。
しかも、首位のボルシア・メンヘングラートバッハからフランクフルトまでの勝ち点差は僅かに5ポイントしか開いていません。
今シーズンこそ、念願であったCL出場圏内に滑り込めるかもしれません。
バイエルン戦で見せたドイツ王者相手にも守勢に回らない姿勢、そして昨シーズンヨーロッパの舞台で得た経験。
もしかすると、今シーズンのフランクフルトは再びヨーロッパサッカー界の台風の目となるかもしれません。
躍動する2人の日本人
ELに超情熱的なフランクフルトと、FW鎌田大地、長谷部誠の好感触。#eu_soccer #海外サッカー #サッカーhttps://t.co/MIPXhSSNOv
— スポーツナビ サッカー編集部 (@sn_soccer) November 5, 2019
フランクフルトのここまで健闘を見せている要因としては、2人の日本人選手の活躍が挙げられます。
長谷部はこのチームで既に無くてはならない存在になっており、現在のシステムは彼を中心に組まれていると言っても過言ではありません。
現在35歳の長谷部ですが、そのプレーには衰えの色は全く見えず、ドイツでは「ローター・マテウスの再来」とも呼ばれています。
長谷部に加えて、今シーズンレンタル先のシントトロイデンから復帰を果たした鎌田の活躍も特筆に値します。
昨シーズン、ベルギーリーグで目覚ましい活躍を見せた鎌田はドイツに戻ってからもコンスタントに出場機会を得ています。
得点こそ上げていないものの、ゴールに直結するプレーをいくつも見せ、ドイツの地で徐々にその真価を発揮しつつあります。
今後も2人の活躍から目が離せません。
過密日程が続く
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— Eintracht Frankfurt (@Eintracht) November 2, 2019
大勝を飾ったバイエルン戦を機に一休みしたいところですが、残念ながら今シーズンのフランクフルトには過密日程が待ち構えています。
バイエルン戦の4日後にはヨーロッパリーグのリエージュ戦があり、さらにその2日後にはフライブルク相手にリーグ戦を戦わなければなりません。
昨シーズンも、ブンデスリーガとヨーロッパリーグの並行によって最終的に息切れしまっただけに、この過密日程が今後の懸念材料になることは間違いありません。
フランクフルトはバイエルンミュンヘンやドルトムントなどと比べると選手層の薄いチームであるため、よほど上手いやりくりをしないと昨シーズンと同じ轍を踏むことになってしまいます。
その意味では、複数のポジションをこなせる長谷部と鎌田の存在はチームにとって非常に大きな戦力になるでしょう。
まとめ
ブンデスリーガ第10節、フランクフルトはバイエルンミュンヘン相手に歴史的な大勝を飾りました。
フランクフルトはここまで、昨シーズンの最終順位と同じ7位に着けています。
シーズン序盤、長谷部と鎌田という2人の日本人選手はチームに欠かせない戦力になっています。
今後は過密日程が続きますが、フランクフルトには昨シーズンのような国内外での躍進を再現することが期待されます。