フォーミュラ1世界選手権(F1)は、1950年よりイギリスで始まった70年1000戦以上のレースを続けてきたモータースポーツです。
ドライバーの運転テクニック、マシンの速さと安定性信頼性、戦略のち密さ等大切な要素は沢山ありますが、その一つが「ピット作業」です。
タイヤの耐久性はレースを走り切る能力が無く、レースが経過していくにつれサーキットの状況が変化していきマシンの状態が左右されていきます。その対策と調節を行う事が必要です。
今回は、F1のピット作業の歴史について『なぜここまで作業が早くなったのか』また『ルールの変更でいかにミスなくドライバーを再び送り出すにはどのような点が重要なのか』紹介していきます。
F1のピット作業ルールの詳細
・1回のピット作業で約20名のメカニックスタッフが関わる
・1994年から2009年までは燃料補給(給油)が認められていたが現在は禁止、最初から最後までレースを完走出来る燃料が搭載されてレースが行われている
・ピットでの停止位置を指示する「ロリポップマン」、車体を持ち上げる為の「ジャッキ」を用いるスタッフ、タイヤ交換を行う為に数名のスタッフを配置
・再スタート時にエンジンストップしてしまった時、スターターを用いるスタッフを配置している。
なぜここまでピット作業が早くなったの?給油廃止からタイヤに全てが注がれる
1980年頃から定着していったピット作業。
作業を行う事で、レース前半は燃料が軽い状態で攻める事が出来、レース後半に足りない分の燃料を補給し走り切るという作戦が最初に生まれました。
一時期給油作業が廃止されたり復活したりという時代もありましたが、ある程度時間を給油に取られていた為、タイヤ交換の作業にも余裕があり結果として7秒~10秒程の作業完了時間が当たり前のように行われていました。
しかし、炎上しマシンが覆われドライバーが危険にさらされる等のアクシデントを回避する為に、2010年以降は給油作業が無くなり、反対にタイヤの交換作業がレース中に必ず一回は行うというルールが義務化されました。
タイヤの使い方と交換のタイミングが大きく鍵を握り、短時間で交換を済ませる事が勝利への重大な要素に加わっていきました。
今では、1回の作業で2秒台、或いは2秒を切るタイヤ交換の作業でピット作業のメカニック達はドライバーを再びサーキット上に送り出しています。
神業を見せるF1チームのピットメカニック達
https://twitter.com/F1/status/1155899497215602688
これは2019年のドイツGP中に、レッドブルチームが樹立した「ピット作業最速記録」の映像です。
何とそのタイムは「1.88秒」。
カップラーメンを作ってる間に、このピット作業を90回もこなせるという換算になります。
まるで、早送りを再生しているかのような錯覚に陥りますがこれは全て現実です。
作業を終えたメカニックの皆さんの表情も明るくすがすがしいです。
一度でいいからこんな異次元の作業を生で見てみたいですね!
F1ピットストップ映像 完璧な早業!!
まとめ
ご覧頂いた通り、何十年前までは10秒かかっていたり、燃料が炎上して危険な状態になっていたピット作業。
そんな危険を乗り越え、ルールが改正化され、現在の神業のようなピット作業に変化していきました。
タイヤ交換という至ってシンプルな作業ですが、半端ない努力の末に出したスピードだと思うと感動しますよね。
日本国内のモータースポーツのピット作業とはルールが異なる部分がありますので一概に決められませんが、F1のピットメカニックの皆さんは誰もが「世界一」と認めざるを得ない程の「スーパーマン」です。
ドライバーだけではなく、チーム全員で勝利に向かって戦っている。
モータースポーツは素晴らしい物ではないでしょうか。