2019年のF1世界選手権では21箇所のサーキットでレースを行います。
サーキットと言えば市街地から離れた郊外の広い敷地の中に作られ、コース両脇にはガードレールもなく、芝生や砂のエスケープゾーンが広がっている。
そんな専用コースをイメージするでしょう。
しかし、私達が普段使う一般道をF1マシンが走るサーキットも存在するのです!
今回はそんな市街地サーキットをご紹介したいと思います。
世界の市街地サーキット(過去に行われた場所も含む)
アデレード市街地コース:オーストラリア
コース全長:3,780km コーナー数:16
オーストラリア南部、アデレードの市街地コースで85年から95年までF1オーストラリアGPが行われた。 pic.twitter.com/ZDyEKRPH66— コース紹介BOT (@circuit_bot_) November 19, 2019
アデレード市街地コース(オーストラリア 1985年~1995年)
ペスカーラ・サーキット(イタリア 1924年~1961年)
ポルト・サーキット(ポルトガル 1958年,1960年)
モンサント・サーキット(ポルトガル 1959年)
フェニックス市街地コース(アメリカ合衆国 1989年~1991年)
デトロイト市街地コース(アメリカ合衆国 1982年~1988年)
フェア・パーク(アメリカ合衆国 1984年)
ラスベガス市街地コース(アメリカ合衆国 1981年~1982年)
ロングビーチ市街地コース(アメリカ合衆国 1976年~1983年)
アイン・ディアブ・サーキット(モロッコ 1958年)
バレンシア市街地コース(スペイン 2008年~2012年)
モンテカルロ市街地コース(モナコ公国 1929年~)
アルバート・パーク・サーキット(オーストラリア 1996年~)
シンガポール市街地コース(シンガポール 2008年~)
バクー市街地コース(アゼルバイジャン 2016年~)
2019年のレースでは4か所が市街地サーキットで行われました。
市街地サーキットの主な特徴は一般道なので道幅が狭く、両端はガードレールや壁に囲われています。
路面状態もレース専用サーキットに比べると凸凹しています。
その為、抜きにくいコースとも言われています。
一時は安全性確保の問題から市街地コースは減少傾向にありましたが、近年では技術進歩により安全性が十分確保されるようになりました。
その為、市街地コースの開催は今後増える傾向にある様です。
市街地サーキットはどうやって作られる?
F1シンガポールGPのコース準備は着々と進んでいます。 pic.twitter.com/vM4e3swPnJ
— シンガポール留学ワーホリ支援🇸🇬 英語留学/ワーキングホリデー/団体英語研修/海外就職 (@studySingapore) August 7, 2015
一般道をサーキットとして使用するので、安全対策として周囲に広い退避スペース、フェンス、タイヤバリアを設置します。
コース脇には安全確認や緊急事態に備え、監視員も配置されます。
さらに走行不能になったF1マシンを速やかに撤去する為、クレーン等も用意されます。
観客は仮設のスタンドで観戦しますが、やはり安全面の観点からコースからは
やや離れた場所に設置されます。
ナイトレースで行われるシンガポールGP
ついに!!念願だったF1 Singapore GPを観戦してきました!!最高だ、、、。
さすが市街地コースということで想像していたよりも近くで見ることができて、大満足!! pic.twitter.com/yxvsFMSpPP
— Halohalo@Next✈︎琵琶湖🇯🇵モルディブ🇲🇻 (@halohalo_ana) September 25, 2019
長い歴史があるF1で初のナイトレースとして2008年から開催されているのがシンガポールGPです。
コース全体に照明を取付けて昼間と同等の明るさを保つ事で実現されました。
シンガポール市街の夜景と相まって昼間のレースとは違った様相を見せてくれます。
世界3大レースの一つモナコGP
駅前が第一コーナー
ラスカスに本当にラスカスがある
プールサイドシケイン脇に本当にプール
ロウズヘアピンでトヨタとメルセデスがバトル。しかも逆走。モンテカルロ市街地コース怖えよ〜。
#本当にあった怖い話2018 pic.twitter.com/3JiTm0uZVt— Mei Kaigai (@Mitchan_599) November 11, 2018
市街地サーキットで行われるレースの中には世界3大レースと呼ばれるものがあります。
インディーカー・シリーズのインディ500、耐久レースのル・マン24時間レース、そしてF1のモナコGPです。
開催国のモナコ公国は世界のセレブ達が生活する国としても有名です。
多くのF1ドライバーもモナコに自宅を構えているそうです。
またモナコ王室が観覧する御前レースになっており、表彰式にも王室の方が出席します。
優勝者はモナコ大公からトロフィーを受け取ります。
モナコGPの歴史は古く1929年に初回レースが開催されています。
昭和4年です!
コースの特徴は市街地サーキットの中でも特に道幅が狭くレース中の追抜きは困難とされています。
それくらい難しいコースで有る事から「モナコGPの優勝は3勝分の価値がある」とも言われるほどです。
ここで際立って強いドライバーは「モナコ・マイスター」と賞賛され、一つのステータスになっています。
歴史に残る伝説のレース 1992年モナコGP
自分にとってF1 モナコグランプリはやっぱり王道だけど1992年です。
ネットでの動画でだけどあそこまで燃えるレースは早々ない。 pic.twitter.com/1U8UfUH8cL— よしき (@hts004) May 22, 2019
1992年に行われたモナコGPの残り8周のアイルトン・セナとナイジェル・マンセルの攻防はF1史に残る名勝負となりました。
1992年当時はウィリアムズ・ルノーに乗るナイジェル・マンセルが圧倒的な強さを発揮していました。
マシン性能差でもマンセルが優勢でした。
このレースもマンセルがTOPを独走する状態でレースは進み、セナと28秒差のリードを保ったまま残り8周となります。
その時、マンセルはタイヤに異変を感じピットインを行います。
セナはマンセルを抜き1位に浮上しますが、マンセルはあっという間にセナの後ろに猛追します。
しかし、セナは性能差で劣るマシンを巧みに操り、要所要所でマンセルを抑え込みます。
結局最後までマンセルはセナを抜くことが出来ず、自身初のモナコGP優勝を逃していましました。
なんとか優勝したセナですが、ゴール直後にマシンから白煙が上がり、マンセルも表彰後には疲労困憊となり座り込んでしまったそうです。
2020年ついに日本でもカートの市街地レース開催!
【AUTOSPORT web】 2020年、“東京から一番遠いまち”島根県江津市でレンタルカート使った日本初の公道レース開催へ: 2020年9月20日に島根県江津市で“日本初の公道レース”『A1市街地グランプリ GOTSU… https://t.co/bhsDuemwSK #F1JP pic.twitter.com/FFjOHzuueA
— レッドブル・ホンダ NEWS (@F1JP_News) October 1, 2019
海外では頻繁に市街地サーキットによるレースが行われていますが、これまで日本では開催されることはありませんでした。
しかし、「A1市街地グランプリGOTSU 2020」が、2020年9月20日(日)に島根県江津市で開催される事が決定しました。
F1マシンではなくレンタルのカートマシンでのレースですが、日本での開催の意味で歴史的意義は大きいでしょう。
まとめ
島根県の取り組みでは最終的な目標はF1とは異なるそうですが将来F1が日本の一般道を走る時が来るかもしれません。
市街地サーキットのレースは壁、ガードレールに当たらずに走り続ける必要があります。
最終順位を争う勝負も見どころですが、これら障害物からわずか数センチ残してギリギリを走り続けるテクニックが見られるのが市街地サーキット最大の魅力ではないかと思います。
そういった新たな見方でF1を楽しんで見ては如何でしょうか。