F1マシンといえば誰もがイメージする低いボディに流線型の胴体、そして大きな前後ウイング。
地上の戦闘機とも言われるF1マシンは戦闘機同様に空気と戦い空気を味方に付け進化して来ました!
今回はそんなF1マシンの空気との関係をご紹介したいと思います!
F1マシンの特徴!大きなウイングが生み出すとんでもない力とは!?
Both Ferrari fitted with different rear wing specs. Looks like Vettel & Leclerc will run a direct comparison in FP1.#AMuS #F1 #BrazilianGP pic.twitter.com/eJLBYmwF7J
— Tobi Grüner 🏁 (@tgruener) November 14, 2019
風の強い日に傘を前方に向けると押し戻され、後方に向けるとすごい力で引っ張られる等の現象は誰もが一度は体験した事のある現象ではないでしょうか。
空気の力は物を押したり引いたりするのにとても大きな力を発揮します。
レーシングマシンのウイングは走行時の空気の力を使ってマシンごとタイヤを地面に押し付けて高いグリップ力を発生させることで高速でのコーナーリングを可能にする必須アイテムなのです!
そしてこのウイングがどれくらいの力を発生させているかというと…
なんと約2トンと言われています!
2トンというと軽自動車約2台分以上にもなる力を風の力だけで発生させているのです!
F1マシンは大体700Kgくらいの重さだといわれていますので、理論上は速度さえ出て入れば自分の重さよりも大きな空気の力で天井に張り付いて走ることも可能なのです。
F1の歴史は空気との戦い!
There’s a familiar theme emerging with #Seb5 on top @ScuderiaFerrari so far today. Those two pylons on the rear wing of the car are to measure aerodynamic flow. Not to get better mobile phone reception. #F1testing #Fit4F1 pic.twitter.com/BlSiP9Tx4s
— Pirelli Motorsport (@pirellisport) February 20, 2019
1950年から選手権として開催されたF1。
初期の頃はウイングも無く1人乗りのクラッシックカーのようなマシンでした。
しかしエンジンパワーが上がり空気抵抗が増えていくことで、徐々に空気抵抗を減らすために低くそして流線型な車体に進化していき、細く長いF1マシンが増えていきました。
そして1960年代後半からウイングが普及、1970年代にはグランドエフェクトカーと呼ばれる、マシン裏側を特殊な構造をすることでマシンそのものがウイングとして機能し文字通り「地面に吸い付くようにして走る」マシンが登場するようになりました。
しかし、空気を味方に付けるための試行錯誤の末に過激になったマシンの事故が頻発。
ルールでグランドエフェクトカーの使用が禁止となりました。
そして1980年~1990年にかけて現在のF1に非常に近い形状の車体やウイングを持ったマシンになり現在に至ります。
F1マシンはどの時代でも定められたルールの中で技術者たちが最も速く走れるを追求した結果の形状なのです。
わずか5㎝!革命をもたらしたF1マシンの空気を操る機能!
Testing that new DRS zone @LewisHamilton opening up at Turn 1 #BritishGP 🇬🇧 #F1 pic.twitter.com/y2j927JQiE
— Formula 1 (@F1) July 6, 2018
F1マシンのウイングから発生する強力な空気の力は、コーナーではタイヤを地面に押し付けグリップを上げて高速コーナーリングを可能にします。
しかし、逆にストレートでは大きな抵抗となってしまい最高速度が出にくくなります。
特に前方を行くマシンを抜き去りたい!というときにその空気抵抗を減らすシステムが現代のF1には装備されています。
それがDRS〔ドラッグリダクションシステム〕です。
これは「ここぞ!」というときにウイングを可変させて空気抵抗を減らし直線を速く走れるようにする機能です!
このDRS、ルールで5㎝までの可変が許可されています。
「え?たったの5㎝?」
と思うかもしれませんが『侮る無かれ!』この5㎝が時速300㎞/hの世界では前車を捉えて抜き去るほどの差になります。
ちなみにDRSは使用出来る条件がルールで定められているので、このDRSを使った駆け引きもレースの見所となっています!
F1マシンは皆似たような形??奇抜なデザインで空気を味方にしようとしたマシンたち
詳しくない人からすれば、前後にウイングを装備するフォーミュラーマシンはどんな種類のマシンでもF1と言われてしまう程にF1マシンの「カタチ」のイメージが定着してしまっています。
しかし、長いF1の歴史の中でマシンは様々な形状へその時代ごとに進化して来ました。
ルールがまだ比較的自由であった1990年代より以前のマシンは6輪車や、冷却装置が丸見えのマシン等など、奇抜なもの多すぎて紹介しきれないほどです。
今回は2000年代以降、皆様のイメージされる一般的なF1のカタチが適用されるなかでも、ルールの中で最大限に空力を利用しようとした結果奇抜なデザインになってしまったマシンをいくつかご紹介します!
アロウズA22 モナコ仕様 2001年
少しでもマシンの前方を押さえつけてハンドリングをよくしたい!という発想から考案されたと思われるこのウイング。
フロントウイングの上のノーズから真上に小さなリヤウイングのような形をしたウイングが飛び出しています。
しかもかなり高い位置にあるため完全にドライバーの視線の先。
実戦投入はされましたがドライバーの視界を遮り危険ということで直ぐに使用禁止となり決勝レースに投入されることはありませんでした。
ウィリアムズFW26 2004年
名門ウィリアムズが2004年に投入したマシンには通称「セイウチノーズ」と呼ばれた、まるでセイウチの牙が飛び出ているかのようなデザインの大型フロントウイングを装備していました。
これは流れる空気を車体の下に取り込んで空力効果をアップさせる為の手法だったようですが、シーズン序盤戦こそ活躍したものの次第に弱点が明らかに。
シーズン途中でシャープなノーズとウイングに大幅変更され、コチラのほうが成績がよかったという結果に。
2014年 各チーム
この年はルールの大幅変更があり、前年度から一転して全チームが奇抜なマシンを投入しました。
特にフロント周りの激変振りとその異端さにファンは驚きました。
フェラーリが投入したF14Tをはじめとするマシン先端がまるで掃除機のノズルやカモノハシのくちばしのような通称「カモノハシノーズ」を採用したマシン。
マクラーレンが投入したMP4-29をはじめとする、ノーズの先端だけが細く飛び出した通称「アリクイノーズ」を採用したマシン。
これも全て決められたルールの中で最大限の空力を得ようと技術者が頑張った結果ですが、ファンの間では不評なデザインとなってしまいました。
まとめ
その年の定められたルールでどんどん進化してゆくF1マシン。
そこには空気と戦い味方に付ける為に奮闘する技術者たちのデザインや機能が詰まっています。
華やかなF1マシンのカラーリングに目が行きがちですが、各チームがどんなデザインのマシンを使っていて他のマシンとどう違うのかもF1を見る楽しみ方の1つとしていかがでしょうか?