ブラジル代表ネイマールは今年に入ってから相次ぐ負傷に悩まされています。
バルセロナ時代には輝かしい成績を残しましたが、パリサンジェルマンに移籍して以降は何度も負傷離脱を繰り返しています。
27歳という最も脂の乗り切った年齢であることを考えれば、こうした事態はとても残念なことだと言わざるを得ません。
ブラジルの至宝は怪我を乗り越えて再びかつての輝きを取り戻すことができるのでしょうか?
今年だけで負傷離脱は3回
13日に行われた国際親善試合でブラジル代表はナイジェリア代表と対戦しました。
ネイマールはこの試合で先発出場を果たしましたが、前半11分という非常に早い時間帯で負傷交代を余儀なくされました。
試合後の報道によると左足の太もも裏に違和感を覚えたようで、ハムストリングの負傷だということです。
今回の負傷は代表選の試合中ということもあり、チームにとって大きな痛手になったことは間違いありませんが、それにもましてネイマール本人にとって大きなマイナスとなる負傷でした。
と言うのも、ネイマールが負傷で離脱するのは今年だけで何と3度目なのです。
1度目は、今年1月の右足第5中足骨骨折です。
これにより、ネイマールはCLの決勝トーナメントに出場することができなくなり、チームもマンチェスターユナイテッドに大逆転を喫してしまいました。
ネイマールの離脱が悲願のCL制覇を目指すパリサンジェルマンにとって大きな痛手であったことは間違いありません。
続いて2度目の負傷は、夏に開催されたコパ・アメリカ2019の開催直前に負った足首の怪我です。
この大会でネイマールはブラジル代表のエースとして活躍することが期待されましたが、結果的には1試合も出場することができませんでした。
しかも彼が不在であったにもかかわらずブラジル代表はこの大会で見事優勝を果たしました。
ネイマール個人にとっては、非常に悔しい結果であったはずです。
そして、最後の3度目の負傷が今回のナイジェリア戦でのハムストリングの怪我でした。
今シーズンはコパ・アメリカ開幕前に負った怪我の影響でスタートが遅れていたネイマールですが、ここ5試合は全てのリーグ戦にスタメン出場していました。
そんな中での今回の負傷離脱ですから、本人はもちろんチームやサポーターとしても非常に残念な結果になってしまいました。
PSG移籍が境目に
ここ最近では「怪我がち」というイメージが定着しているネイマールですが、かつての彼は決してそのような選手ではありませんでした。
彼はブラジルのサントスでトップデビューを果たし、その後バルセロナに活躍の場を移しました。
この2つのクラブでネイマールは常にレギュラーとして活躍してきたわけですが、当時の彼は決して負傷離脱の多い選手ではありませんでした。
もちろん小さな怪我はありましたが、長期離脱は一度も経験しませんでした。
ところが、近年では全く別の選手になったのかと思われる程、度重なる怪我に襲われています。
では、それがいつからかと言えば、これは間違いなくPSG(パリサンジェルマン)移籍以降ということになります。
サントスとバルセロナでは毎年30試合以上、または20試合以上の試合に出場していましたが、PSG移籍後は2年間で37試合(リーグ戦)にしか出場できていません。
しかも、今シーズンもここまで9試合中5試合にしか出場できておらず、さらに13日に再び負傷を抱えることになりました。
ハムストリングの負傷は短期間で全治するものではなく、尚且つ再発の危険性も高いため、今シーズンもおそらくは多くて20試合程度の出場数に止まると予想されます。
偶然の要素が強いとは言え、こうした負傷離脱の頻発が奇しくもPSG移籍以降に起こっているということはある意味で注目に値することなのかもしれません。
怪我に泣かされたかつての天才たち
欧州のトップリーグではこれまで、才能を認められながらもケガに泣かされて十分にその力を発揮できなかった選手が何人も存在します。
アリエン・ロッベン
今シーズンの開幕前に引退を発表したアリエン・ロッベンもその内の1人です。
ガラスの天才とも称された同選手は、PSVからチェルシーに移籍して以降ほぼ毎年のように何らかの負傷を経験しています。
あるメディアが報じたところでは、負傷離脱の合計日数は1200日にも及ぶということです。
今年35歳で引退した背景に、こうした度重なる怪我の影響があったことは想像に難くありません。
ガレス・ベイル
ロッベンと同じく、毎年のように負傷を繰り返しているのがレアルマドリードのガレス・ベイルです。
トッテナム時代は決して怪我がちな選手ではありませんでしたが、スペインに渡ってからは頻繁に筋肉系の怪我を繰り返しています。
過去には、この2人以外にも怪我に泣かされた選手たちがいました。
例えば、ロナウド、マイケル・オーウェン、テオ・ウォルコット、アブ・ディアビといった選手たちです。
これらの選手たちに凡そ共通していることは、スピードを武器にした選手であるということです。
これは、上記のロッベンとベイルにも共通する部分です。
そしてこの点は、残念ながらネイマールにも当てはまります。
今後、ネイマールが負傷離脱を繰り返す選手になるかは分かりませんが、こうした不吉な前例があるということは覚えておいてもいいでしょう。
ネイマールは第2のマルコ・ロイスを目指すべき?
ネイマールと同様に若くして成功を収め、その後相次ぐ負傷に苦しめられた選手の代表がドルトムントのマルコ・ロイスです。
ロイスは20歳でクラブのレギュラーに定着し、22歳で代表デビューを果たしました。
そして、当時の所属クラブであるボルシアMGでの活躍が認められて、23歳の時にドルトムントに移籍します。
しかし、ドルトムントではほぼ毎年のように怪我に苦しむことになります。
加入してからの2シーズンはリーグ戦のほとんどの試合に出場しましたが、それ以降は毎年のように長期離脱を経験しています。
この点で、ロイスとネイマールは似たキャリアを歩んでいると言っていいでしょう。
ただ、ロイスの場合には昨シーズンのリーグ戦で27試合に出場したことからも分かるように、怪我がちというイメージをいくらか払拭しつつあります。
その意味では、ネイマールの手本になる選手だと言うこともできるでしょう。
どちらも右利きで、似た身長、体重、体型の選手ですから、ネイマールが第2のロイスとなることは決して不可能なことではないはずです。
まとめ
ネイマールは今年に入って既に3度も負傷離脱しています。
PSGに移籍して以降、フルシーズンを戦ったことは1度もありません。
かつて怪我に泣かされてキャリアの多くの時間をリハビリに費やした選手たちと同じ趨勢を辿っているようにも見えます。
果たしてネイマールは、マルコ・ロイスのように負傷の連続を乗り越えて安定した活躍を見せることができるのでしょうか?