ACミランは今シーズン、強豪復活を期して開幕を迎えました。
ところが、蓋を開けてみると格上・格下を問わず常に苦戦するという試合が続いています。
そうした状況の中で遂に先日(9日)、マルコ・ジャンパオロ監督の解任が発表され、同日にステファノ・ピオリ氏が後任の監督を務めることが発表されました。
果たして、ミランは新監督の下でかつての姿を取り戻すことができるのでしょうか?
81年ぶりの悲劇!?最悪のスタートを切ったミラン
セリエAは現時点で7節を消化していますが、ミランはこの時点で既に4敗を喫しています。
しかも、その内の3敗は4節フィオレンティーナ戦、5節インテル戦、6節トリノ戦における3連敗でした。
フィオレンティーナは同格、インテルは格上、トリノは格下というのが大方の見方ですが、結果としては相手のレベルに関係なく敗北したという形になります。
このことに加えてさらに衝撃的なのは、今シーズンのここまでの戦いが81年前のクラブ記録に並ぶ最悪のスタートだということです。
ミランは6節までに4敗を喫しましたがこれは1938-39シーズン以来、実に81年ぶりの記録なのです。
前節(7節)こそジェノア相手にからくも勝利を手にしましたが、それでもシーズンのスタートに大きく躓いたことは間違いありません。
優勝は夢のまた夢?
ミランは2010-2011シーズンに優勝して以来、実に8シーズンにも渡って優勝から遠ざかっています。
この期間は丁度ユベントスがセリエA8連覇を成し遂げた時期に当たるわけですが、今日のミランの低迷はこのこととはあまり関係がありません。
何故なら、過去8シーズンの内の6シーズンはCL出場権内に入ることすら出来ていないからです。
あるいは、2位に入った2011-2012シーズン、そして3位に入った2012-2013シーズンにしたところで、1位のユベントスに大差を付けられてシーズンを終えています。
つまり、ミランがここ数年低迷していることの原因はユベントスを始めとした強豪クラブにあるのではなく、ただ単純にチームとしての力が落ち込んだことが原因なのです。
さてそこで、今シーズンのここまでの順位に目を転じてみましょう。
現在(7節終了時点)、セリエAの上位6チームは以下のような顔ぶれとなっています。
1位:ユベントス 勝ち点19
2位:インテル 勝ち点18
3位:アタランタ 勝ち点16
4位:ナポリ 勝ち点13
5位:ローマ 勝ち点12
6位:ラツィオ 勝ち点11
ここまでの順位は、おそらくは大方の予想通りだと思います。
しかし、まだシーズンが始まったばかりだとは言え、ミランがEL出場権内である6位以内にすら入っていないということを予想していた人は決して多くは無かったはずです。
7節終了時点でのミランの順位は13位で勝ち点は9となっており、CL出場権内よりも降格圏内の方が近い状態になっています。
さらに言えば、現時点で既に首位のユベントスとの勝ち点差は10、2位のインテルとも9ポイント離れています。
現実的に言えば、優勝の可能性は無くなったと考えても決して間違いではないでしょう。
また、インテルが名将コンテの下で着実に戦力・戦術の両面からチームを強化していることを考えれば、2位に着けることすら困難だと予想されます。
まさに、優勝は夢のまた夢という状況になっています。
監督交代による好転はあるのか?
冒頭でも述べたように、ミランは9日にマルコ・ジャンパオロ監督の解任と共にステファノ・ピオリ新監督の就任を発表しました。
クラブの首脳陣としては当然、この監督交代によってシーズンの巻き返しを狙っているはずです。
マルコ・ジャンパオロ前監督はイタリアでカリアリやエンポリなどのクラブを率い、サンプドリア監督時代には限られた戦力の中でチームを9位に押し上げました。
ミランはこの手腕を評価して前任のガットゥーゾ監督に代わる指揮官として今季から新しく招聘したわけですが、結果的にはリーグ戦開幕からわずか7試合での解任となってしまいました。
新しく監督に就任したピオリ氏はジャンパオロ前監督と同様にイタリアでの監督経験が豊富な監督で、過去にはミランのライバルチームであるインテルの監督を務めた経験もあります。
ミランの再建はセリエAを知り尽くしたピオリ新監督の手に委ねられたわけですが、地元のメディアからは既に彼の手腕を疑問視する声が挙がっています。
と言うのも、ピオリ氏がここ数年指揮を執ってきたチームでは、シーズン途中に辞任または解任に追い込まれるという事態が続いているからです。
ただ、短期間でチームを立て直すことには定評のある監督であるため、今後の戦いには大いに期待できます。
気になるのは選手起用
新監督就任で最も注目されるのは選手起用の方法です。
ジャンパオロ前監督は選手起用で様々な批判を受けていましたから、この点がどのように改善されるかが非常に大きなポイントになります。
特に気になるのが前線の選手の起用法です。
昨シーズンは主に左にチャルハノール、左にスソ、センターフォワードにピョンテクという布陣で戦っていましたが、ジャンパオロ前監督は今シーズン、スソをトップ下に置きチャルハノールとピョンテクを前線で流動的に動かすという形に変更を図りました。
しかし、結果的にはこれが裏目に出てしまい、7節終了時点での得点数はリーグワースト3位に沈んでしまっています。
新監督のピオリ氏には、この前線の選手の起用法を大きく改善することが求められます。
少なくとも、現在のように得点よりも失点の方が多いという状況は即座に脱しなければならないでしょう。
まとめ
今シーズンのミランはここまで、得点力不足に苦しんでいます。
開幕から6戦で4敗を喫するのは、何と81年ぶりのことです。
先日ジャンパオロ監督を解任し、8節以降はピオリ新監督が指揮を執ることになります。
現時点ではまだ上位との差も決して大きく開いているわけではありませんので、ここからの巻き返しに期待が膨らみます。